今、タイで知らない人はいないという「Pantip」。
インターネット普及率75%を超えるタイで、絶大な人気を集める掲示板サイトです。
どれだけ人気があるのかというと、2019年にAlexaが行った国内アクセスランキングでは「Google」や「Youtube」と並んで第4位を獲得するほど。
タイ国内に限定されたサイトでありながら、なぜここまで急成長を遂げたのか。
今回は、そんな「Pantip」に隠された人気の秘密に迫ります。
Pantipとは?
Pantip(パンティップ)は、今や老若男女問わず多くの人が利用しているタイのウェブサイトです。
1996年にInternet Marketing Co.,Ltd.によって設立されたコミュニティサイトで、これまでに存在するスレッドの数はなんと3,500万以上です。
公式サイトによると、ひと月に4億3,000万を超えるアクセスがあるといいます。
日本でいう「yahoo!知恵袋」や「2ちゃんねる」のような位置付けですが、それらに比べると利用者の年齢層も幅広く、内容的にも真面目なカテゴリーが多い印象です。
ちょっとした悩みがある時、分からないことがある時、人生につまづいた時、つまりどんな時でも気軽に打ち明けられる、それがPantipなのです。
Pantipには38のカテゴリーがあり、タイ語で「ห้อง(ホーン)」と表記されています。
中でも、特に人気のあるカテゴリーをご紹介します。
- Email会員(メールアドレスで登録)
- SMS会員(電話番号で登録)
「質問スレッド」のみ1日1回書き込みが可能ですが、スレッドを立てることはできません。 IDネームの変更や画像の投稿も不可。
「販売スレッド」以外であれば、1日4回まで書き込めますが、スレッドは立てられません。Email会員と同様、あらかじめ割振られたIDネームとなります。
- IDカード会員
全スレッドに1日4回書き込みができ、その他の機能も全て機能が利用可能です。 IDネームも自由に変更できるので、より信頼できるユーザーかどうかの目安にもなります。
他にも、ガジェットや政治経済、メイク、ファッションなどジャンルは多岐に渡ります。
それぞれのカテゴリーを開くと、今度は「กระทู้(グラトゥー)」と呼ばれるスレッドがずらり。
スレッド自体も「質問」「雑談」「アンケート」「商品レビュー」「ニュース」「販売・購入」と細分化されているため、ユーザーとしては目的のスレッドが探しやすいというのもPantipの魅力の1つでしょう。
どうしてPantipは人気があるの?
とにかくPantipが抱える情報量は驚くほど多く、「Pantipさえあれば解けない謎はないのでは?」とさえ思えるほど。
毎分、毎秒と新しいスレッドや投稿がとめどなく流れてくるため、常に最新の情報が手に入るのも魅力です。
また、Pantipがネット上の掲示板というスタイルであることも、人気を後押しする要素の1つです。
というのも、実はタイでは日本のように紙面から情報を得るという概念があまりありません。
もともと雑誌などから情報を得ることがなかった状況を考えれば、スマートフォンから手軽に利用できるPantipが大流行したのにも納得です。
Pantipが持つ他とは違う特徴
GoogleやYahoo!など、世界的に利用されているウェブサイトがあるにもかかわらず、なぜタイの人はPantipを選ぶのでしょうか。
そこで、Pantipならではの特徴をまとめました。
会員登録が必須
タイでは、7歳以上の国民全員に「バット・プラチャーチョン」と呼ばれるIDカードが付与されます。
そしてPantipに登録する際は、そのIDカードを紐付ける必要があるのです。
Pantipの会員にはいくつか種類があり、IDカードなしでも利用できないわけではありません。
ただし、本人確認ができない場合、スレッドが立てられなかったり、書き込みに制限があったり、とせっかくのPantipの機能を有効に利用できないシステムとなっています。
また、コメントはリンク化されており、そこから発言者のページに飛ぶことも可能。
問題発言などがあれば、すぐに本名が公開されるという徹底ぶりです。
つまり、Pantipは他サイトのような匿名の書き込みがなく、非常に信頼性の高いウェブ掲示板といえます。
会員区分は3種類
Pantipには3種類の会員が存在します。
- Email会員(メールアドレスで登録)
- SMS会員(電話番号で登録)
- IDカード会員
「質問スレッド」のみ1日1回書き込みが可能ですが、スレッドを立てることはできません。 IDネームの変更や画像の投稿も不可。
「販売スレッド」以外であれば、1日4回まで書き込めますが、スレッドは立てられません。 Email会員と同様、あらかじめ割振られたIDネームとなります。
全スレッドに1日4回書き込みができ、その他の機能も全て機能が利用可能です。 IDネームも自由に変更できるので、より信頼できるユーザーかどうかの目安にもなります。
「いいね」の代わりにポイント付与
Pantipでは、気に入った記事にポイントをプレゼントできる機能も人気です。
Instagramなどの「いいね」と同じような位置付けで、ポイントが多いほど人気の記事、多くの人が興味を示した記事ということになります。
ポイントが多く集まった記事は「利用者おすすめ記事リスト」に入るため、ユーザーとしても、より質の高い記事をすぐに見つけられるのは嬉しいですよね。
ただし、ポイントを付与できるのはIDカードによる本人確認が済んでいる人のみ。
それ以外の人ができるのは「コメントの書き込み」のみとなるので、注意が必要です。
その場でSNSに拡散できる
Pantipは、あくまでも掲示板というスタイルでありながら、即座に他SNSにシェアできるのも特徴です。
スレッドページを開くと、右下にあらかじめTwitterやFacebookなどへシェアするボタンが表示されています。
面白いと思った記事や、自身のSNS上にクリップしておきたいと思った記事があれば、ユーザーはボタンを押すだけ。
ちなみに、タイは世界きってのSNS大国と言われています。
調査会社「Hootsuite」が2021年に行った調査では、日本人のFacebook利用率30.5%に対しタイ人は93.3%、Instagramの利用率38.6%に対し77.1%、と驚くべき利用率の高さとなっています。
Pantipは掲示板ではありますが、SNSが大好きなタイの人たちにとって、欠かせないSNSツールの1つなのです。
こうした理由から、最近ではPantipを利用したマーケティングを考える企業も増えています。
ここまで信頼性が厚く人気の高い基盤があるとなると、企業としてもビジネスに活用しない手はないでしょう。
Pantipで広告宣伝するメリット
ひと月のアクセス数4億3,000万回、1日の訪問ユーザーが420万人を超えるPantip。
一切マーケティング知識がない人から見ても、Pantipに広告を出すだけで多くの人の目に止まり、宣伝効果が得られることは理解できるはずです。
しかし、もちろんそれだけではありません。
Pantipには、38のカテゴリーがあると先述しました。
そのカテゴリーに合った広告を出すことで、よりユーザーの需要に沿ったターゲティングが可能になるのです。
Pantipに広告を掲載する際は、どのカテゴリーにどの商品の広告を出すのかよく検討することで、最大限の効果が得られるでしょう。
Pantipにはどんな広告が存在する?
Pantipには、一般的なバナー広告の他に、記事広告があります。
記事広告とは、ライターに依頼して記事を作成してもらい、各カテゴリー内にあるスレッドと一緒に表示させる方法です。
個人的に探したライターに依頼した場合は「SR」、Pantipを通じて専属ライターに依頼した場合は「BR」の文字が、それぞれタイトルの前に付きます。
前者は報酬の代わりに商品やサービスを無料提供するのが一般的で、広告費を抑えることができます。
ただし、完成度は個人差が大きいため、より質の高い広告を求めるのであれば、後者がおすすめです。
Pantipに広告を出すには?
結論から言うと、独自でPantipに広告を出すのは非常に困難です。
というのも、現状Pantipはタイ国内でのみ利用できるサービスのため、原則として全てタイ語でのやりとりとなります。
ビジネスとなるとネイティブレベルの言語力が求められるため、よほどタイ語に精通した人材がいない限りは難しいでしょう。
しかし、日本国内には海外ビジネスやマーケティングをサポートしてくれる会社が多くあるので、上手く活用するのも一つの手です。
タイへビジネス進出すべきメリット
タイはアジアの中でも今最も活気があり、多くの日本企業が進出を果たしている国です。
では、なぜ多くの企業が他のどこでもない「タイ」にこだわるのでしょうか、そのメリットを紹介します。
メリット1. アジアの中心になりつつあるタイ
東南アジアのちょうど真ん中に位置するタイは周囲の国へのアクセスが各段によく、物流の中心となっています。
さらに、2014年からは大規模なインフラ整備が行われ、ベトナムやカンボジアをスムーズにつなぐ「南部経済回廊」ができました。
バンコクからは世界各国を結ぶ航空便も多く、タイからさらに視野を広げたい企業にとってこれほど好条件な国はないでしょう。
メリット2. 環境が良い
タイは、アジアきっての親日国として知られています。
現地で暮らしている日本人の数は世界第4位とされ、すでに日本人のコミュニティも多く作られています。
いくら仕事のためとはいえ、食事や生活環境の基盤ができていないと不安が残りますが、タイであれば生活に困ることはまずありません。
メリット3. 原材料が豊富
産業集積が進んでいるタイでは、基本的に材料や部品の現地調達が可能です。
いくら人件費が安くても、他国から原材料を仕入れるとなるとそれ以上のコストがかかります。
そこで、タイへ進出してきた多くの企業は互いに協力し、原材料を現地で仕入れることができる基盤を作ろうと努力してきました。
そして現在、タイでは原材料の現地調達率が著しく高まり、製品やサービスをより安定した形で提供できているのです。
タイ進出についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。あらゆる業種が進出!タイ進出のメリットとデメリット
Pantipなどをうまく活用すればタイ進出も難しくない
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、タイで人気の掲示板サイト「Pantip」についてご理解いただけたと思います。
今回ご紹介した内容は海外マーケティングのごく一部であり、タイへの進出を考えた際、利用できる方法は他にもあります。
気になる方は、一度海外マーケティング支援サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
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