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日本人にとっては旅行先や料理といったイメージが強いタイですが、日本にとってのタイにはもう一つの意味合いがあります。

「企業の進出先」という側面です。道行く車やバイクは日本メーカーのものが多いですし、特に首都バンコクでは数え切れないほどの日本料理店があり、多数の日系企業が進出し、成功を収めています。

本稿では元一部上場企業のタイ・バンコク駐在員であった筆者より、タイ進出のメリットとデメリットをご紹介いたします。

日本企業のタイ進出動向

タイは人口約6,700万人、GDP世界26位(2018年)の国であり、ASEANではインドネシアに継ぐ経済規模です。外資企業を積極に誘致し、1980年代より高度経済成長期を経験し、同エリアの中心的な存在になりました。

日系企業も多く進出しており、JETROの2017年の調査によると、5,444社の企業が活動していることが確認されています。

日本からタイの進出は歴史が長く、かつては大企業の製造業の進出が盛んでしたが、近年では飲食店を含む非製造業かつ中小企業の進出が増えています。

実際に日本では数店舗程度の飲食店がタイに来て成功し、周辺国にも進出するというお店も見られます。

日系企業がタイに進出するパターン3選

日系企業がタイに進出する場合には大きく3パターンに分かれます。
・製造拠点
・販売拠点
・サービス拠点
かつて多かったのは自動車や機械などの製造拠点です。コストの安さを利用して、タイに工場を作り製品を作ります。タイにはいくつか工業団地があり、その中を走ればたくさんの日本企業の看板を目にすることが出来ます。

タイには製造拠点を持たないものの、タイとASEAN諸国の顧客へ販売するための販売拠点として進出するパターンもあります。
なんとなく近いイメージのタイですが、実は成田からバンコクまで6時間以上のフライトになります。行き来や在庫の管理も大変なので、タイに販売拠点を作って、マレーシアやインドネシアなどASEAN諸国への統括販売拠点にするというケースも見られます。

サービス拠点は、IT企業や飲食業もですが、銀行も国内顧客の進出に伴い各行が進出してきています。実際の業務を行うのは難しいので、タイの地元銀行と業務提携して、顧客のケアにあたっています。

タイ進出のメリット

さて、いよいよタイ進出のメリットとデメリットをご紹介していきます。

日本人社会が既に形成されている

タイには既に多数の日系企業が進出し、多数の駐在員やその家族が滞在しています。それだけでなく、昔から旅行先としても人気なので旅行者、自らタイに移住して現地採用で働く会社員、タイの大学に留学する学生など、かなり幅広い層の日本人がいます。
特にバンコクでは、すっかり日本人コミュニティが出来ており、飲食店だけでなくあらゆる意味で日本人が暮らしやすい環境が整っています。海外駐在員を置くにしろ、現地で日本人を雇うにせよ、外国でビジネスをする際に日本人社員の住環境は重要になってきますので、この点においてタイは非常に恵まれていると言えます。

それ以上に重要なのが「日本人マーケット」の存在です。製品にせよサービスにせよ外国でビジネスをするには、ある程度のローカライズが必要になってきますが、現地に既にマーケットが存在しているので、既に日本で認知されている企業やサービスにとっては非常にやりやすい環境と言えます。日系企業はほとんどの場合日本メーカーの車を買いますし、日本人の美容師さんや歯科医師さんなどは、日本人というだけで集客が見込めるわけです。

まだまだ安いタイでのコスト

タイもすっかり物価が上がった、という声も聞かれますが、まだまだ日本に比べると安いです。2020年から適用されたバンコクの最低賃金は、1日当たりで331バーツです。1バーツは現在約3円なので、993円。日給が東京の最低賃金時給(1,013円)よりまだ低い水準です。

もちろん高給取りのタイ人も出現していて、この給与で採用できる人材は限定されますが、日本と比較すれば、まだかなり安いコストで有ることがわかると思います。

ASEANの牽引役であること

先述の通りタイのGDPはインドネシアに継ぐ域内第2位です。インドネシアは世界最多の島嶼を抱える島国であるため、物流や移動の効率が悪く、タイが実質的に経済的な牽引役になってきました。
物価上昇や法人設立、撤退のしやすさからベトナムなどの人気も上がりましたが、今もなおASEAN進出の際に最初に名前が上がるのはタイであるといえるでしょう。

現地に暮らす人々の多様性

タイには実にさまざまな人が暮らしています。日系企業だけでなく世界中から企業が進出してきていますし、旅行先として人気なのも世界中で同じです。バンコクの町を歩けば常に外国人(タイ人以外)が目に入ります。密度で言えば東京など比べ物にならないほどの国際都市です。
そして、日本には無い縦軸での多様性があります。タイの経済力はASEANでは上位であるものの、世界的にはまだ26位なので、「物価が安い」という理由でタイに来る人と、「賃金が高い」という理由でタイに来る人が混在しています。(日本も近年のデフレで「物価が安い」からくる国になってきてはいますが。)
そこに暮らす人々の多様性は、同時にビジネスチャンスと言うことが出来ますので、上手にマーケティングができれば大きなメリットになるでしょう。

タイ進出のデメリット

ここまではメリットをご紹介してきましたが、世の中にユートピアはなく、必ず悪い面もあります。進出の際にはデメリットの見極めも必要になりますので、合わせてご確認ください。

未だ未整備な部分が多いインフラ

これはタイに限ったことでは無いのですが、世界トップクラスに整備されている日本のインフラと比べるとあらゆるものが貧弱です。都市整備の効率が悪いため、バンコクの渋滞は世界最悪と言われていますし、道路の舗装率や質もまだまだ。頻繁に大雨が降る土地なのに、下水道の性能が高くなく、頻繁に冠水するエリアも。

この辺りは外国人にはどうしようもないので、受け入れるしかありません。

意外に少子高齢化が進んでいる

若者が多いイメージのASEANですが、実はタイは少子高齢化が進んでいる国です。経済成長を促進する最大の要因は、「働く人の数が増える」人口ボーナス期と呼ばれるフェーズです。日本人には周知の事実ですが、人口減少は確実に経済を縮小させます(人口オーナス)。

少子化対策や移民政策などで労働人口を確保できなければ、長期のマクロ視点で言えばほぼ確実に経済は縮小していくので、ここは見極めが必要な大きなデメリットになります。

政情不安と腐敗認識指数

ほほえみの国と呼ばれるタイですが、意外と政情が不安定です。大規模な抗議デモや軍事クーデター、連続爆発事件など物騒な事件が数年おきに起こっています。外国人が生活するエリアであれば一般的な治安は悪くないのですが、こういったカントリーリスクがあることも理解しておくことが必要です。
また、ある国際NGOが発表している腐敗認識指数(CPI)という数字があります。公務員と政治家がどの程度汚職をしているのか、という指数ですが、2019年の日本は73ポイントで世界20位。対してタイは36ポイントでなんと105位です。41ポイントで81位の中国よりかなり下ですので、その悪さが見て取れます。

実際に飲食店経営者などと話していると、警察の悪い話もたくさん出てきますので、ここもカントリーリスクとして抑えておきたいところです。

駐在員が帰ってこない!?

ここは進出時に見落としがちなポイントですが、多くの企業は進出の際に既存の日本人社員を出向させます。いわゆる海外駐在員という存在です。海外駐在員は日本国内にいるときより、職位が上がり、裁量も増え、自由に働けるようになるので、帰国命令を受け入れられず辞めてしまうのはタイに限らずよくある話です。
タイではそれに輪をかけて現地での生活がとにかく快適で楽しいので、日本に帰りたがらない人が多いのが事実です。私の元上司も帰国命令を受けて退職し、タイ国内で転職をしました。

高いコストをかけ、経験を積んだ駐在員は今後も活躍してもらうべき存在になりますので、辞職されやすいというのはデメリットになってきます。

タイ進出の成功事例

最後に成功事例をご紹介していきます。

世界的自動車ブランド、トヨタ

言わずとしれた日本の最大手企業のトヨタです。タイでは自動車に対する関税を基本200%に設定しているため、多くの自動車メーカーはタイに拠点を作って生産しています。

トヨタのタイ進出の歴史は古く、1957年には販売会社のバンコク支店、1962年には生産事業を行う法人を設立しています。(トヨタHPより)

タイ国内を車で走ればわかりますが、数多くのトヨタ車が走っているだけでなく、タイで生産されたトヨタ車は近隣のASEAN諸国にも輸出されている一大製造拠点となっています。自動車は下請けメーカーの裾野が広い産業なので、トヨタの進出に伴ってタイに進出した企業も多く、タイでの成功例の筆頭と言えるでしょう。

SNSで地元の人にもアピールする飲食店、しゃかりき432”

現地の日本料理屋さんに行くともちろん日本人のお客さんが多いのですが、近年特にタイ人からの人気も高まっています。バンコクの飲食店で成功例と言われてすぐ思いつくのが「しゃかりき432”」さん。
元は大阪の居酒屋さんですが、2012年にタイに進出し、現在ではタイに20店舗だけでなく、マレーシア、ミャンマーにお店を構えるまでになっています。

タイ在住の日本人にはもちろん、FacebookやInstagramでの発信にはタイ語と英語も使い、またタイ人アーティストとコラボしたMVを作成するなど、タイ人や日本人以外の外国人へのインターネットマーケティングを上手に使った成功例と言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。全般的なお話をお伝えしてきましたが、もちろん業種や会社の大きさなどで、具体的な進出にあたって起こる問題は様々です。大変なことも多いでしょう。

しかしながら、ASEANへの窓口としても見ることができるタイは進出先としてまだまだ魅力がある国です。この記事が皆様のタイ進出、海外ビジネスの成功に少しでも役立てば幸いです。

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