2021年9月16日

グローバリゼーションとは?企業に導入するメリットやデメリット

今や「グローバリゼーション」という言葉は、誰もが聞いたことのある世界共通のキーワードとなっています。

幼い頃から海外へと広い視野を見据えた、グローバル教育なども盛んです。

また、活動の場を国内だけに留めず、海外へと広げたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

馴染みの深いグローバリゼーションですが、この言葉が指す本来の意味や具体的な内容は意外と知られていません。

そこで今回は、グローバリゼーションの定義や背景、導入事例からメリット・デメリットまで徹底的に解説します。

海外進出を考えている企業経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

グローバリゼーションとは

まず、ここではグローバリゼーションの全体像を掴みましょう。

定義

グローバリゼーションとは、社会・政治・経済・文化などが国や地域の枠組みを超えて広がり、世界規模で結びつきが強まるプロセスのことです。

つまり、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて動き回ることを指します。

現代では、通信機器や輸送手段・翻訳技術などにより、物理的な障壁を無くした世界的なコミュニケーションが活発に行われています。

また、グローバリゼーションがもたらす資本の動きや、それによる効果・影響は、様々な研究機関の学問対象です。

背景

グローバリゼーションの発達には、技術革新が大きく貢献しています。

グローバリゼーションのきっかけとして頻繁に挙げられるのが、16世紀ヨーロッパの大航海時代です。

船によってヒトとモノの長距離移動が可能となり、貿易が盛んに行われ、世界経済・交流が生まれました。

その後も、産業革命により鉄道・飛行機などの移動手段が発展し、グローバリゼーションはますます進みます。

さらに近年では、情報通信技術が発達し、コストを抑えながら場所や時間にとらわれない資本の移動が可能となりました。

グローバリゼーションが加速するにつれて、異国間の技術競争や金融政策も勢いを増し、国際関係も変化し続けています。

ビジネス上のグローバリゼーション

ビジネスにおけるグローバリゼーションは、企業や組織が世界中の顧客・パートナーと繋がるプロセスや手法を指します。

世界中の情報・技術・人材・資本を駆使し、新しい市場へと拡大するためのグローバル戦略は、今や企業にとって欠かせないものとなっているでしょう。

グローバリゼーションにまつわる用語

ビジネス上のグローバリゼーションを理解し推進するためには、インターナショナリゼーション(国際化)とローカリゼーションの意味を抑える必要があります。

インターナショナリゼーションは、自国のものを他国の基準に適応させる動きを指します。

つまり、製品やサービスが他国の市場に出回りやすいように工夫することです。

グローバリゼーションが世界的な統合を目指すのに対し、インターナショナリゼーションは、あくまで国境で区切られた国同士の相互作用を指します。

また反対に、ローカリゼーションとは製品やサービスをある特定の市場に適応させる手法を表します。

ある国・地域特有の宗教文化に反さないよう、商品やサービスの形態を変えることも、ローカリゼーションの一例です。

グローバル化を指す「グローバリゼーション」と、ローカル化を表す「ローカリゼーション」を合わせたグローカリゼーションという言葉も存在します。グローカリゼーションとは?メリットや事例を解説の記事で、グローカリゼーションについては詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

グローバリゼーションのメリット

では、グローバリゼーションがもたらすメリットや効果を見ていきましょう。

市場の拡大

グローバリゼーションが展開すると、市場を国内だけでなく海外にまで広げられます。

当然、市場の規模も拡大し、自社の商品やサービスがより多くの人の目に触れられ、様々なビジネスチャンスが得られるでしょう。

日本で飽和状態にあるビジネスでも、フィールドを世界に変えることで、新たな可能性が生まれるかもしれません。

生産コストの削減・生産性アップ

グローバリゼーションでは、ヒトやモノの移動が活発であり、活動拠点の選択肢も増えます。

そのため、生産性アップを見越して、比較優位のある製品に特化した生産も可能です。

また、製品の工場を海外に置くことで、生産コストも削減できます。

オフショアと呼ばれる新興国や発展途上国に生産拠点を移すと、自国よりも安い賃金で人員を確保でき、人件費が抑えられるでしょう。

技術・文化の発展

ビジネスの場を海外に進出すると、それまで関わる機会がなかった、世界水準のハイレベルな人材や知識と触れ合うことになります。

グローバルな交流によって、より広く新しい価値観を得られ、技術力の向上や文化の発展に繋がるでしょう。

国際協力の推進

グローバリゼーションは、政治・経済・社会・教育・文化などのあらゆる場面における世界統合を目指します。

世界的な結びつきが強まる中で、国際問題への注目を高め、国際協力を促す効果も大きいです。

グローバリゼーションのデメリット

では反対に、グローバリゼーションがもたらすデメリットや懸念点を確認しましょう。

国内産業の空洞化 

グローバリゼーションによって市場の規模が大きくなると、その分競争も激化します。

コストを抑えた安価な商品が出回りやすくなり、価格競争が起きるでしょう。

また、活動拠点が海外に移ることで、国内産業の空洞化も懸念されます。

貿易により海外製の商品が国内に参入し、国内企業にダメージを与えるかもしれません。

これは、賃金の低下や雇用の喪失にも影響する恐れがあります。

貧富の差の拡大

オフショアにおける生産では、現地労働者を日本の水準よりも低賃金で雇う場合が多いでしょう。

また、優秀な人材は国内に留まらず海外に進出し、グローバルなフィールドで好条件で働く傾向にあります。

資本主義ならではの貧富の差が拡大しやすいのが、グローバリゼーションの懸念点の一つです。

治安の悪化

ヒト・モノ・カネ・情報が自由に動くグローバリゼーションでは、犯罪発生の可能性も高まるでしょう。

暴力などの物理的な犯罪だけでなく、情報を利用したサイバー犯罪・テロなども規模が大きくなりやすいです。

また、相互連鎖関係が構築されるグローバル社会では、経済面でも間接的な影響を受けます。

実際に、アメリカから始まったリーマンショックは、世界全体を巻き込んだ経済危機に発展しました。

国際的衝突の発生

国境を超えた交流が増えると、様々な価値観・文化に対面します。

自国との差異を理解できず受け入れられないと、国同士の衝突が発生してしまうかもしれません。

難民・移民問題などもその一例です。

また、国内を安定させるための経済・金融政策が、海外に悪影響を及ぼすケースもあります。

衝突を避けるためには、相互理解や国内外の視野のバランスが重要です。

グローバリゼーションの導入事例

では、実際にグローバル戦略を元に海外進出した企業の例を見ていきましょう。

ユニクロ

アジアを中心に海外店舗を多く構えるユニクロは、他社よりもいち早く海外に参入し、今も成長を続ける大企業です。

東南アジア市場ではムスリムに向けたヒジャブを展開したり、中華圏ではあえて日本より高価格で販売することで「日本で買うと割安」というインバウンド向け戦略を打ち出したりしています。

トヨタ自動車

大手自動車メーカー・トヨタ自動車は、世界でも名の知れる有名企業です。

「グローバル基準での品質の確保」を目指し、「Made by Toyota」の車を世界に供給しています。

また、「モノづくりは人づくり」という理念のもと、グローバル人材の育成にも力を入れています。

今後のグローバリゼーションの課題

では、今後グローバリゼーションが進む中で、向き合わなくてはならない課題は何でしょうか。

グローバル人材の育成

企業が海外に進出して成功を収めるためには、グローバルに活躍できる人材が欠かせません。

グローバル人材には語学力も大事ですが、それ以外にコミュニケーション力・異文化理解力・環境適応力・技術力なども求められます。

現状、日本の優秀なグローバル人材は、外資系企業や大企業に集中するケースが多いです。

グローバリゼーションの中で日本社会全体が生き残っていくためには、グローバル人材教育に早期段階で着手する必要があります。

多様性の尊重

文化や価値観の衝突を避けるためには、お互いの異なる部分を理解し、尊重する姿勢が大切です。

「ダイバーシティ」という言葉は、多様性を表すキーワードとして聞いたことがある方も多いでしょう。

新興国や発展途上国に進出し市場を開拓する際は、現地の文化や風習・宗教や価値観があることを忘れてはいけません。

グローバリゼーションの中に、ローカリゼーションを上手く取り入れることが肝心です。

情報の管理

世界各国の活動拠点の情報をまとめるには、大きな労力を要します。

それぞれの国ごとのITシステムを利用し整合して、情報の漏れ・ダブりがないように注意しなくてはなりません。

個人や会社のプライバシーを守ためにも、世界規模のサイバーテロや犯罪対策が必要でしょう。

円滑なコミュニケーション

時間や場所がバラバラな状況下で、ビジネスを進めていくためには、円滑なコミュニケーションが大切です。

インターネット環境の整備から、仕事に対する姿勢・価値観の共有を図ることで、トラブルが発生しにくい環境を目指さなくてはなりません。

海外進出のメリットデメリット

近年グローバル化が進む一方で、国内では人口減少や外資系企業の日本進出により、国内の市場はますます激化することが予想されます。そのため日本企業にとっても海外進出が重要な経営戦略の1つとなっています。

海外進出を考える企業が知るべきメリット5選

本記事では、海外進出のメリットについて紹介しています。重要なポイントを押さえ、今後の経営に関わる海外進出への戦略を検討してみましょう。

グローバリゼーションで会社をさらに大きく

いかがでしたでしょうか。

今回は、ビジネスの観点からグローバリゼーションの定義やメリット・デメリットなどを紹介しました。

IT技術の進歩により、企業の成長のためには、もはや海外進出が欠かせません。

導入事例を参考に、ぜひ自社のグローバリゼーションを検討してみてください。

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