近年、さまざまな分野で海外進出を果たしている日本企業が増えています。
物価やアクセスの面からアジアを中心とした市場が人気ですが、中にはヨーロッパ展開していたいと考えている方もいるでしょう。
ヨーロッパといえば、世界中から注目を集めているのがイギリスです。
そこで今回は、イギリス進出を果たすための道のりやイギリスを選ぶメリット、実際どのような企業がイギリスでビジネス展開しているのか、などについて詳しくご紹介します。
イギリスに進出するには?
イギリスにはいくつか企業形態がありますが、日本の企業がイギリスに進出する際には「Private limited company – limited by shares (Ltd.)」というスタイルとなるのが一般的です。
日本でいう「株式会社」という位置づけで、現地の企業登記局で登記する必要があります。
現地で会社を立ち上げること自体はそこまで難しい話ではなく、むしろ日本よりもシンプルです。
オンライン登記、専用ソフトウェアを利用した登記、書面郵送のいずれかで申請を行います。
オンライン登記の場合の費用は12ポンド、会社名や代表者の氏名、会社の所在地など必要項目を埋めて申請すれば24時間以内に承認されるのが一般的です。
登記を急ぐ方には、専用ソフトウェアからの申請がおすすめです。
費用は10ポンド、申請内容はほとんど変わりなく24時間以内に承認されますが、追加で40ポンド支払えば即日の登記が可能となっています。
書面郵送の場合は、オンラインと異なり必要書類を手元に準備しなければなりません。
拠点とする場所によって送付先が異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。
費用は40ポンド、登記されるまで最大10日必要です。
追加で100ポンド支払うと即日登記も可能ですが、送付先の事務所ごとに営業日時が異なるため注意しましょう。
日本の企業がイギリスに進出するメリット
日本企業が進出先としてイギリスを選択するメリットについて解説していきます。
メリット1. 親日家が多い
遠く離れた日本とイギリスですが、実はその歴史は長く幕末まで遡ります。
特に外交や貿易といった側面においては交流が厚く、2021年1月1日に日英包括的経済連携協定が発効されたことは記憶に新しいでしょう。
また、グローバルコンサルティングを手掛けるアウンコンサルティング株式会社の調査によると、日本に対して「大好き」あるいは「好き」と答えた人が89.2%、日本人に対して「大好き」あるいは「好き」と答えた人が94.6%と非常に高い数値となっています。
こういったことからも分かるように、親日家の多いイギリスは、日本の企業が進出しやすい環境といえるのです。
中でも関心を集めているのが日本食文化や歴史のジャンルで、2018年にヨーロッパ1号店としてオープンした「カレーハウスCoco壱番館」には連日行列ができるほど。
最近では日本のアパレルや雑貨を取り扱うショップも増え、ますます需要が高まることが予想されます。
メリット2. イーストロンドン・テックシティ
ロンドンのシリコンバレーと称される「イーストロンドン・テックシティ」は、世界でも類を見ないほど急速な発展を遂げた場所です。
もともとはロンドンの外れにある名もないエリアで、お世辞にも景観は美しいとは言えず、治安も良くない環境でした。
賃料の安さに惹かれたIT企業やデザイン関連の会社が、たまたま環状交差点「ラウンドアバウト」の周りに集まっていたため、2008年には「シリコン・ラウンドアバウト」という名称が誕生。
当初は10余りの会社が点在しているだけ、という状況でしたが、現在ではなんと1300以上の企業が拠点を構え、世界的にも引けを取らないテックシティへと発展したのです。
2008年を起点に、まず安い賃料でアトリエを構え始めたのは芸術家たちでしたが、それに加えてロンドン中心部へのアクセスの良さを再認識した各分野の企業が次々と流入。
自然と人が集まるカフェやコミュニティスペースが増えて、今ではGoogleやFacebookなど誰もが知る大企業まで拠点を置いています。
日々変化があり、いつ訪れても熱気や活気が感じられるテックシティは、これからも終わることなく成長し続けるでしょう。
また、ロンドンは市を挙げて企業サポートを行っているのも特徴です。
スタートアップをサポートする情報サイトなどもすでに開設されているため、情報収集や優秀な人材の確保など、起業に際して心強いパートナーとなってくれるはずです。
メリット3. ビザが申請しやすい
イギリス進出を考えた際、まずは「現地で一から起業するのか」あるいは日本に親会社があり「支店として展開するのか」ということがポイントとなります。
それぞれ、渡航する際に必要となるビザの種類が異なるためです。
後者であれば、特にビザの申請は手軽になります。
日本に本社を置き、支店や連絡事務所としてイギリスに拠点を構える場合、必要となるのが「Sole Representative Visa(ソールレップビザ)」です。
ソールレップビザは現地支店の代表者となる人が申請するビザで、基本的には有効期限は3年間ですが、2年延長をして現地滞在が5年になれば、永住権の申請もできるようになります。
親会社が1年以上好調に続いていること、正規社員であること、その会社の幹部にあたる人材であること、などいくつか条件がありますが、資金面などの審査がない分、審査に通りやすく家族も一緒に渡航することが可能です。
一方、渡英してから起業することを考えた場合は「Tier 1(Entrepreneur)Visa」を申請するのが一般的です。
こちらは50,000ポンド以上の資金証明と、ある程度の英語力に加え、明確なビジネスプランが求められます。
ソールレップビザに比べるとハードルは高くなりますが、そもそもイギリスに進出しようと考えている方であれば、この程度のハードルならクリアできるはずです。
日本の企業がイギリスへ進出するデメリット
イギリスを拠点と考えた際、最もネックとなるのが物価の高さでしょう。
ここで言う物価とは、スーパーやショッピングモールでの商品価格のことだけではありません。
物価の高さはテナント費用や家賃、交通費など生活面全てにおいて影響するということを理解しておく必要があります。
また、自身で会社を運営していくにあたり、人件費や社員のマネージメントにおいても日本と比べると費用がかさみます。
現地の人材を採用するにしろ、日本からスタッフを派遣させるにしろ、他国から参入した会社が現地で良い人材を集めるには、それなりの資金を用意しておくのが基本といえるでしょう。
この点がアジア進出と比べた時の大きなデメリットですが、イギリスではそんな企業のためのサポート体制も整ってきているため、できる限り費用を抑える工夫をしてみましょう。
実際どんな企業が多い?業種別イギリス進出ランキング
帝国データバンクが行なった調査によると、2019年3月時点でイギリスに進出している日本企業の数は1298社となっています。
同社が2016年に行った調査よりも6%ほど減少していますが、それでも多くの企業がイギリスに拠点を置いていることは明らかです。
では、一体どのような業種がイギリス進出を果たしているのでしょうか、ランキング形式で見ていきましょう。
1位 製造業
トップは2016年の調査から変わらず製造業で、2019年3月時点で全体の39.3%を占める510社がイギリスに進出しています。
「株式会社ネリキ」「巴バルブ株式会社」「東洋シール工業」など、国内だけでなく世界中にシェアを拡大している企業が名を連ねています。
2位 サービス業
2位は、前回3位だったサービス業がランクインしています。
前回より企業数としては減っているものの、全体の17.4%、226の会社があります。
サービス業には「受託開発ソフトウェア」や「パッケージソフトウェア」などのプログラミン業や広告代理業も含まれ、現地企業だけでなくイギリスを拠点とする他国の外資系企業も顧客となっています。
3位 卸売業
前回258社で2位だった卸売業ですが、今回の調査では223社で3位となりました。
それでも全体の17.2%と2位のサービス業とほとんど変わらない割合で、イギリスが日本企業の進出先として人気があることが分かります。
イギリスで人気のSNS
海外へ進出する際に、現地のSNSを活用したマーケティングが注目されています。
そこでイギリスではどのSNSが人気を集めているのでしょうか。
こちらの記事ではイギリスで人気のSNSを紹介しております。イギリス進出の手助けになれば幸いです。
サポートをうまく活用してイギリス進出を果たそう
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、イギリスへ進出する方法やメリットなどについてご理解いただけたと思います。
イギリス進出はアジア諸国に比べると費用がかかるイメージですが、親日家が多く、起業をサポートするサービスが整った国でもあります。
海外進出を考えている方は、一度視野に入れてみるといいでしょう。
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