「グローカリゼーション」というワードをご存知でしょうか?
「グローバリゼーション」すなわち「グローバル化」を元にした造語で、企業としては必ず押さえておきたい戦略の1つです。
本記事では、グローカリゼーションとは具体的にどんなことを指すのか、取り入れることでどんなメリットがあるのかなどについて解説します。
実際に成功を収めている企業の例と併せて、グローカリゼーションについて読み解いていきましょう。
グローカリゼーションとは?
グローカリゼーションとは、グローバル化を指す「グローバリゼーション」と、ローカル化を表す「ローカリゼーション」を合わせた造語です。
単純に訳すと、グローバル化は「地球規模、世界的な」、ローカル化は「現地の、地方の」という、それぞれ相反する意味合いを持つ言葉になります。
一見矛盾があるように感じますが、双方の要素をうまく取り入れることにより、世界的に成功している大企業が多くあります。
どんなに優秀な技術やサービスを提供していたとしても、それぞれの国や地域のニーズに応えることができなければ意味がありません。
世界に通用するグローバルな技術やサービスをローカルエリアに持ち込み、そこで求められている形にして提供することで初めて需要が高まるのです。
この仕組みを「グローカリゼーション」と呼び、世界中に拠点を置く大企業の多くが企業戦略の1つとして取り入れています。
グローバリゼーションについては、グローバリゼーションとは?企業に導入するメリットやデメリットで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
グローカリゼーションのメリットとは?
グローカリゼーションを取り入れることで、企業側としてもさまざまなメリットが得られます。
どんなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
メリット1. コストの大幅削減
これまで日本では、日本製か中国製かという製品争いが長く続いていました。
しかし近年では、日本のファストファッションを代表する「ユニクロ」や「しまむら」でも、ベトナムやバングラデシュ、ミャンマー製の製品が急増しています。
発展途上国で生産した方が、人件費が安いことが理由です。
日本で作った製品を海外に持ち込むよりも、コストを抑えられる海外で大量生産し日本へ輸送する、あるいは現地で販売する方が結果的にコストカットとなり、消費者としてもより手に取りやすい価格帯で購入できるのです。
メリット2. 世界的な発展
日本のアパレル界を担っているともいえる発展途上国ですが、ただ現地スタッフに「こういうものを作ってほしい」と伝えるだけでは、依頼する企業側も受注する側も発展はしなかったでしょう。
現地に赴き、プレゼンテーションを行い、技術や経営方法などを共有することで、現在のように生産性を飛躍的に上げることに成功しているのです。
グローカリゼーションは、企業を発展させるために、世界規模で考えていかなければならないことです。
こうして途上国の生産性を高めることで、世界的な経済の活性化に貢献しているのです。
メリット3. 顧客満足度の向上
日本で売れている商品をそのまま海外で販売し、現地でも売上を安定させることができるケースは、残念ながらほとんどありません。
サービスや商品によって違いはありますが、少なからずスタイルなり価格なりを柔軟に現地仕様に変化させることがグローカリゼーションの基本です。
はじめはある程度の費用が不可欠ですが、ローカリゼーションを徹底することで、後の顧客満足度やリピート率の向上が期待できます。
メリット4. 海外市場の開拓
少子化や高齢化が急速に進む日本国内では、今後何十年という長いスパンで成功を望むことができるような、新しい市場の開拓は不可能に近いでしょう。
しかし、未だ経済が不安定な発展途上国であれば、新規事業として介入できるチャンスが豊富にあります。
日本から技術やサービスを持ち込んで、現地で必要とされている商品やサービスを提供することで、コストを抑えながら、この先何十年と続く新たな市場を開拓できるかもしれません。
グローカリゼーションにはデメリットもある
メリットがある一方、グローカリゼーションならではのデメリットも知っておかなければなりません。
デメリット1. 情勢の不安定さ
平和な現代においても、紛争やデモなどが頻繁に起こっている国がたくさんあります。
そういった国で事業を展開していく際は、情勢の不安定さから来るリスクも理解しておかなければなりません。
例えば、一旦デモが起こると、軍の弾圧で多くの死傷者が出るような国があります。
そうなると、企業としては、現地スタッフの安全確保のためにも工場を停止しなければなりません。
また、いつどこで反日デモによる不買運動が始まるかも予測不能です。
グローカリゼーションを考える際は、そういったリスクも念頭に置いておきましょう。
デメリット2. すぐに結果が出ない
日本国内だけの話であれば、これまでの傾向やその時の流行などをリサーチし、必要なものを生産することは難しくありません。
しかし、グローカリゼーションの一環として海外に拠点を置く場合、まず十分な設備を整えてスタッフを確保するところから始まります。
そこから現地スタッフの育成を開始、それと同時に現地での流行や需要などに関するマーケティングリサーチを進めていく必要があります。
そのため、利益が出るまでかなりの時間と手間がかかることを理解しておかなければなりません。
企業としてすでに成功を収め、人材面や資金面がある程度安定している場合は余裕を持って参入できます。
しかし、そうでない場合は、国内で成功していたとしても海外での赤字が埋められず、失敗に終わるケースも珍しくないため、長期的なプランニングを行ないましょう。
デメリット3. 失業者の増加
グローカリゼーションが拡大する、つまりグローバル化やローカル化が進むということは、日本国内で雇用する人数を最小限まで減らすということを意味します。
人材は現地で確保した方がコストパフォーマンスに優れ、同時に生産性も上がることが分かっているため、国内の支社ではリストラが行われることも珍しくないのです。
いかに、日本国内の雇用状況を悪化させずに海外進出を成功させるか、そこに日本の未来がかかっていると言っても過言ではありません。
グローカリゼーションの事例
ここでは、実際にグローカリゼーションが活用されている事例をご紹介します。
事例1. マクドナルド
「グローカリゼーション」と検索すると、必ず名前が挙がるのがマクドナルドです。
そもそもマクドナルドが日本に上陸したのは1971年ですが、当初は本場アメリカで提供されているメニューがそのまま日本でも提供されるスタイルでした。
しかし、1989年に日本独自の「てりやきバーガー」を開発し、見事ファストフードNo.1の座を手にしたのです。
現在では、スリランカなら「エッグアンドシーニサンボルバーガー、ニュージーランドなら「キウィバーガー」など、味も中身も想像できないようなオリジナリティ溢れるメニューが世界各地で楽しめます。
事例2. アニメ
今や日本を代表する文化の1つとなったテレビアニメにも、グローカリゼーション戦略が隠れています。
従来、アニメのみならず他国のドラマや映画などを鑑賞するとなると、元の映像にそれぞれの言語の字幕を付けるというスタイルが一般的でした。
もちろん、それでも字幕がなかった頃に比べればすばらしい発展です。
しかし、活字に置き換えられてしまうことで、本来のニュアンスがうまく伝わらない、対象者が限られてしまう、などといった新たな問題が浮き彫りになったのです。
ましてや、アニメとなると小さな子どもから大人まで幅広い人に受け入れてもらう必要があります。
そこで、字幕ではなく吹き替えにしたところ、日本アニメの需要が驚くほど高まりました。
今や「ポケットモンスター」や「ドラゴンボール」などは、それぞれの国の言語に吹き替えられ、世界中で愛されています。
グローカリゼーションをうまく活用して世界規模の企業へ
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、グローカリゼーションの概要や現状についてご理解いただけたと思います。
世界規模でプランニングしながら現地の声にも耳を傾ける、これは簡単なことではありません。
悩んでいるという方は、海外マーケティング支援サービスの利用も検討してみましょう。
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