「バイラルマーケティングって何?」
「バズやステルスとの違いは?どれが良いの?」
「具体的にどのような効果があるのか知りたい」
SNSやレビューサイトなどのインターネットサービスの普及が進み、個人ひとりひとりが容易に発言できる時代に突入しています。
インターネットユーザーの増加に伴って、企業の製品やサービス、情報がネット上の口コミによって消費者に拡散されることを期待し、自社の売り上げアップに繋げたいと考えている企業も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ユーザーが自発的に口コミをしてくれることで急速に拡散される”バイラルマーケティング”を成功させるために必要な準備やポイントを具体的な事例と合わせながら紹介していきます。
バイラルマーケティングとは?
バイラルマーケティングとはオンライン上で行われる口コミマーケテイングのことで、口コミ情報が人から人へと伝達する様子がウイルス感染に似ていることから、ウイルスを意味する「バイラル」が名付けられました。
情報を口コミする一人一人が発生源となるため、ウイルスのように広まるのが早く、収束するのも早いという特徴があります。
バズやステレスとは違う!信頼性の高いマーケティング手法
バイラルマーケティングは、消費者のリアルな口コミ情報をユーザー間で共有してもらえるように仕向けた信頼性の高いマーケティング手法です。
バイラルマーケティングと混同しがちなマーケティング手法として、「バズマーケティング」や「ステルスマーケティング」がありますが、これらは求める効果によって企業が行う仕掛けが異なります。
バズマーケティングの「Buzz(バズ)」はハチの羽音を意味する言葉で、大勢が集まって盛り上がっている様子を表し、注目を集めて話題の総量を増やすことを目的としています。
またバイラルマーケティングとは異なり、インターネット上に限らずショッピングモールの特設ブースや地域のイベントなど、アナログな活動を通して行われるマーケティング手法です。
ステルスマーケティングの「Stealth(ステルス)」は内密やこっそりと行うことを表した言葉です。企業側の人間が一般ユーザーを装って自社商品やサービスの宣伝をしたり、企業から宣伝費を受け取ったインフルエンサーが意図的に良い口コミを発信したりして、消費者に購入を促す行為を指します。
商品の紹介に企業が関わっているにもかかわらず、宣伝であることを明示していない通称「ステマ」と呼ばれるこのようなマーケティング手法は、消費者からの信用を失いやすく、企業側・インフルエンサーの両方に批判が殺到し、炎上してしまうケースも過去に発生しています。 インターネットユーザーはこのような事例からも、あまりにも押しの強い宣伝や良い情報ばかりを並べた口コミ評判は信用できないと鋭い視線を持つようになっています。
バイラルマーケティングは、消費者に満足してもらえるような商品やサービスを提供することが企業の役割であり、宣伝・PRには介入していないので、共有された情報の信頼性が高いと判断できるのです。
バイラルを発生させるには、口コミネタが必要
バイラルマーケティングを起こすためには、商品を気に入ってくれた人に口コミをしてもらうことが不可欠になります。 自社の商品やサービスの特性をどのようにアピールすれば、消費者の口コミを引き出せるのか。より多くの人に共有してもらえるように、口コミネタを与えましょう。
誰もが納得するような強みを証明する
価値を示すような実績や流行を交えたキャッチコピーを添えることで、消費者は納得しやすくなります。
例えば化粧品やサプリなどの美容製品は、医者や専門家が監修していることや美容業界の有名人が愛用している事実を明示するなど、すでに信頼や認知のあるキーワードを含めれば、より多くの反応が見込めるでしょう。
つい誰かに話したくなる情報を取り入れる
優越感を感じるような知識や雑学を取り入れて、知っているとお得なネタを与えることで誰かに話すきっかけに作ることができます。
「日本にはまだ浸透していないけど、美容大国のタイや韓国ではかなり注目されているらしい」など、その界隈で盛り上がりそうな新しい情報は、良い口コミネタになります。
驚きやギャップで興味を引く
これまでの常識覆す少し疑いたくなるような情報を取り入れると、インパクトを与えやすくなります。
驚きやギャップを感じさせることで「どんなものか気になる」「試してみようかな」など興味を誘発し、他者の商品・サービスとの差別化にもつなげることができます。
インパクトのある珍しいネタを武器にしてバイラルを起こすには、消費者の理解や共感が必要となるため、想像できる範囲内でありながらも世間の一歩、二歩先を行くコンセプトを設定することが重要です。
バイラルマーケティングのメリット
口コミが一気に拡散した(バイラルが起きた)際は、商品や企業の販売促進とともに、ブランディングを獲得するチャンスにもなります。
バイラルコンテンツを経由して訪れたユーザーを顧客にするために、自社が運営しているwebサイトやSNSアカウントを魅力的に作りこみ、会員登録やフォローを促しましょう。
低コストである
バイラルマーケティングを取り入れたい理由の一つとして、低コストである点が挙げられます。
有名人やインフルエンサー、代理店に宣伝費用を払って配信している訳ではないので、なるべく広告コストをかけずに認知を拡大したい中小企業や個人事業、スモールビジネスに最適だと言えるでしょう。
信頼性が高い
企業側が宣伝・PR活動に介入していないため、消費者からの信頼度が高いメリットがあります。
友人や家族、日頃の交流から信頼している著名人などが「これいいよ」「おすすめだよ」と自発的に勧めてくれた商品やサービスなら、ITリテラシーの高い人や疑い深い人でも「この人が言うなら…」と価値を感じ、購入につながる可能性が高まります。
また、紹介者は商品に興味がありそうな人にのみに共有するため、企業が操作するマーケティング手法では欠かせないターゲティングを顧客自身がやってくれているのです。
バイラルマーケティングのデメリット
コストが掛からず信用されやすいメリットからも、「やらない理由なんてあるのか…?」と考える方も多いのではないでしょうか。 しかし、バイラルを起こすのは簡単ではなく、操作できないという点がデメリットになるのです。
効果の予測やコントロールができない
バイラルマーケティングを実現させるのが難しい理由は、口コミの操作ができないことです。
消費者の口コミは自然発生的なもので、金銭を支払ってをお願いしているわけではないため、必ず口コミしてもらえるとは限りません。
ましてや悪い口コミや嘘を書かれる可能性も考えられ、一度悪評がつくと急速な拡散によりコントロールすることは難しいでしょう。
話題になることを狙って、派手な発信をしてしまうと炎上してしまう可能性もある、だからと言って弱すぎると期待する効果は得られません。
意図的に炎上させて知名度を獲得しようとするのも一つの手段ではありますが、長期的に利益を維持するのは難しいため、デメリットとなるでしょう。
バイラルマーケティングの成功事例
実際にバイラルを起こし、マーケティングを成功させた事例にはどんなものがあるのでしょうか。
バイラルマーケティングに重要である”インターネット上でのコミュニケーション”を大事にしている海外3か国の成功事例を紹介します。
パロディで笑いを誘ったタイの”Baskin-Robbins”
アイスクリームチェーン店「Baskin-Robbins」は、競合のソフトクリーム店「Dairy Queen」の特徴として多くの人に知られている”アイスクリームをひっくり返してもこぼれない”というコピーに対し、「みんなが知っている。ファンも知っている。私はいつもアイスクリームを輸入している。ひっくり返さなくても、タイにおいしいアイスクリームを提供できる。」という創作コンテンツをFacebookに投稿しました。
国内ですでに親しみのあるネタをパロディしたことで、笑いを誘い話題となりました。
「Baskin-Robbins」の投稿を見た「Dairy Queen」は、「#ひっくり返せる?#ひっくり返せない?」のハッシュタグをつけて笑いに便乗し、その後はアイスクリーム店に限らずさまざまなブランドがハッシュタグを活用して、自社の商品をユニークに紹介したことから注目を集めました。
無料で差別化したスウェーデンの”Malmö Hardware Store”
スウェーデンにある小さな工具店「Malmö Hardware Store」は、周りに大規模なホームセンターができたことにより、一時は閉鎖を余儀なくされる危機的状況にあったそうです。
しかし、そこで電動ノコギリや電動釘打ちなどの一部の商品を無料で貸し出しするサービスを企画しました。
Facebookを通してサービスの会員になってもらい、借りたい日にちを予約することで手軽に利用できる仕組みを作り、多くの利用者を獲得しました。
お得なサービスを知り無料で工具を借りに来た利用者は「タダで借りるだけじゃ申し訳ない…」という心理から、ついでに釘やペンキなどの消耗品を合わせて購入してくれる”ついで買い”をするお客さんも多くいたようです。
無料という斬新なサービスを計画したことで、Facebookを通して知人に口コミが広まり、結果的に売り上げは25パーセント増加し、店舗の存続に成功しました。
ユニークなサービスで差別化を図ったこのプロモーションは、新聞や雑誌、webなど数多くの媒体で取り上げられたそうです。
フィリピン音楽をカバーして注目を浴びた日本のV系バンド”宇宙戦隊NOIZ”
2011年にフィリピンを訪問して以来、徐々に知名度を獲得し、活動の幅を広げていた日本のV系バンド「宇宙戦隊NOIZ」は、フィリピンのオリジナル音楽をカバーした曲「NARDA」をリリースしました。
ミュージックビデオをYouTubeに掲載したところ1ヶ月間で100万回再生を達成し、コメントは5000件以上つくなど想像以上に反響があったのです。 コメント欄には「カバーしてくれて嬉しい」、「オリジナルより良い」あるいは「オリジナルの方が良い」など、フィリピン文化が認められたことを誇りに思う好意的なコメントや賛否はあるもののクオリティに関するコメントなど、さまざまな言語でコンテンツへの興味を示す内容が書かれていました。
フィリピンのアーティストが日本の音楽をカバーすることはあるが、その逆は聞いたことがなかったのだとか。
このめずらしい試みに日本独特のビジュアル系という文化がかけ合わさったことで、新しい価値を生み出し、バイラル現象が発生した成功事例です。
まとめ
バイラルマーケティングの成功事例として紹介した3カ国は、インターネット上でみんなと情報を共有したり、流行を作り出したりすることを得意としている国です。
自社で新しい商品やサービスを公開する際は、海外で多く利用されているInstagramやFacebook、YouTubeなどを活用し、影響力を持つ個人に刺さるネタを仕込んでおくことでバイラルの発生が期待でき、海外進出のチャンスにもつながるでしょう。
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