スタートアップのと言えば、シリコンバレーを想像する人も多いと思いますが、実はベルリンもスタートアップが興隆しています。 今日はそんなベルリンについて、「なぜ盛り上がっているのか?」「どんなスタートアップがあるのか?」などを解説したいと思います。
1. スタートアップがベルリンに多い理由は?
ドイツ国内の歴史情緒溢れる中世の街を訪れた後にベルリンに行くと、とても同じ国とは思えない違和感を感じるかもしれません。近代的な建物とそのスケール感、また一部の地域に根ずく独特の地域文化、保守的な南部と違うヒッピー的感覚と開放感は、革新的な創造を生みだす土壌がベルリンに根付いている証拠です。
1.1 住民の多様性
1989年11月9日にベルリンの壁が取り壊され、東西ドイツが統一されて早30年経ちました。この間ベルリンは目覚ましく成長し、今は約377万人が暮らすドイツ一の大都市です。ドイツでは、人口の四分の一が移民の背景を持っており、ベルリンはその平均上回る約三分の一の人口が外国人または、移民の背景を持ったドイツ人です。ダイバーシティを重要視するスタートアップにとって、多様な人材が集まるベルリンは魅力的な都市です。ハイヤーサービスを提供するベルリンのスタートアップBlacklane(URL: https://www.blacklane.com/de/)の従業員の出身国は70ヶ国にまたがり、創業者のフランク シュトイァー(Frank Steuer)氏は、インタビューで、商品の企画、コミュニケーション、パートナー、顧客に取ってポジティブな影響があると答えています。
1.2 アクセラレーターとインキュベーターの存在
多くの若い起業家は彼らの事業の出発地点としてベルリンを第一希望に選びます。その理由の一つが、誕生したばかりの企業をコーチング、ネットワーキング、職場や人材の提供で支えるアクセラレーターとインキュベーターの多さです。アクセラレーターとインキュベーターのサポートを経て、様々な革新的なアイディアが実現されています。
1.3 豊富な資金源
良いビジネスアイディアは持っていても、それを実現する為の資金まで持っている起業家は多くはありません。多くの起業家にとっての共通の悩みは事業実現の為の資金を集める事です。ベルリンには、そういったリスク投資を仲介するポータルが数多くあります。例えば、クラウドファンディングベルリン(URL: https://www.crowdfunding-berlin.com/en/)には、様々なクラウドファンディングのプラットフォームが紹介されています。1997年にベルリン投資銀行と、ベルリン州が主導して設立されたベンチャーキャピタルファンドIBBベタイリグングスゲゼルシャフト社 (独) IBB Beteiligungsgesellschaft mbH (URL: https://www.ibb-bet.de/en/home.html)は、特に情報・技術、ライフサイエンス系のスタートアップの投資に力を入れています。こちらのファンドは現在70以上のスタートアップに合計6億410万ユーロ(2018年) 投資し、3258人以上の雇用を支えています。
1.4 ネットワーキング
投資家と起業家が出会う場所の提供として有名なのが、投資家のベルリンでの夕食(英) Investors’ Dinner in Berlin と名がついた夕食会 (URL: https://www.medianet-bb.de/de/bewerbung-investors-dinner/)です。選ばれた少数の起業家と新興企業の融資に積極的な投資家が招待されます。こちらの夕食会で、スタートアップの起業家は20-300万ユーロの融資を獲得すべく投資家と食卓を囲んで交流を深めます。
それ以外にも大小様々な企画があり、例えばローカルのイベント情報が分かるイベントブライト(英) eventbrite のウエブサイトにベルリン、スタートアップのキーワードを入れると数多くのスタートアップを対象にしたイベントがヒットします。投資家を探す目的のイベントの他、起業家同士での情報交換なども盛んに行われているようです。(URL: https://www.eventbrite.de/d/germany–berlin/startup/)
2. 近年の具体的な統計の数(実際のスタートアップの数、その事業分野など)
2019年度、ドイツでは全国で1933のスタートアップが登録されました。スタートアップの登録が一番多かった州は、州別の人口数が国内第1位(2019年度:約1800万人)のノルトライン・ヴェストファーレン州で、全体の20.6%、その次は16.1%でベルリン州、9.8%でニーダーザクセン州、7.4%でハンブルク州と北部の州が上位を占めます。経済的に豊かな南の2州、バーデン=ヴュルテンベルク州とバイエルン州はその保守的な土地柄もあり、2州合わせて全体の25.4%です。起業家の数は4707で、こちらのスタートアップに合計24050人が雇用されました。2019年のスタートアップの事業分野はインフォメーション・コミュニケーション分野が全体の3割、栄養と食品、消費財分野が1割を占め、1割以下では、医薬品、健康分野が8.5%、自動車、モビリティー、ロジスティクス分野が6.7%で、残りの分野は5%以下でほぼ同比率となっています。
3. ベルリン最近のスタートアップから急成長を遂げた数社を紹介
3-1 ティアモビリティー Tier Mobility (URL: https://www.tier.app/)
今はドイツの大都市では、Eスクーターに乗った人を見かけない日はないと言っても過言ではありません。2018年に創立されたベルリンのEスクーターレンタル会社は、現在3万台を11ヶ国、57都市で貸し出しています。
3-2 ツアーレーン Tourlane (URL: https://www.tourlane.de/)
それぞれの個人にあった旅行計画を作るサービスを提供するスタートアップの会社です。各エリアのエキスパートが、それぞれの顧客の要望を聞きながら旅行計画をテイラーメードします。
3-3 ムービンガ Movinga (URL: https://www.movinga.com/de/de)
3分で無料の引っ越しの見積もりを出すベルリンの引っ越しアレンジ会社です。全国の個別の引っ越し会社に引っ越しサービスプロバイダーとして登録して貰い、自分の所に来た見積もりの案件を登録された現地の引っ越し会社に依頼して、実際の引っ越し業務は委託先に行ってもらいます。
まとめ
今回はベルリンのスタートアップについて解説しました。上記のような文化があり、環境が整っているためスタートアップ起業家はベルリンを選びます。
まじすけ株式会社では、ヨーロッパへの進出も支援しております。ご質問、ご相談があればお気軽にご相談くださいませ。
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