中国では、KOLと呼ばれるインフルエンサーが商品紹介するライブ動画配信によるショッピングが話題を集めています。ここでは、ECサイトと動画配信を融合させた「ライブコマース」が市場拡大している要因や仕組みについて分かりやすく解説します。中国越境ビジネスを検討している方は参考にしてみてください。
中国ではライブコマースが話題を集めており、市場規模は約6.4兆円にもなります。実際に、化粧品を販売するドクターシーラボは、アリババ(阿里巴巴)が運営する仮想モール「天猫」でライブコマースを実施して、過去最高の売上額を記録したことは大きなニュースとして取り上げられました。この記事では、中国越境ビジネスとして話題を集めているライブコマースについて解説します。
中国で話題の「ライブコマース」とは
まずは、中国で話題のライブコマースについて解説します。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ECサイトにライブ配信動画を融合させたものです。芸能人やインフルエンサーによる商品紹介のライブ配信動画を見ながらショッピングが楽しめます。
【ライブコマースの特徴】
- ライブ配信動画なので、商品の特徴をリアルに伝えられる
- 視聴者の疑問や不安を動画内で解決することができる
- 視聴者がコアなファンのため高い成約率が見込める
中国のライブコマース市場規模
中国のマーケティング会社「iiMedia research Group(艾媒咨询集団)」の調査結果によると、2019年度の中国のライブコマース市場規模は約4,300億元(約6.4兆)となっています。 また、中国におけるEC市場の取引総額約80%以上のシェアを誇る人気サイトのタオバオ(淘宝)では、2019年度のライブコマースによる商品取引額は2,000億元(約3兆円)を達し、前年比から2倍の成長を遂げました。現在も、EC先進国中国のライブコマース市場規模は拡大し続けています。
中国消費者が求める日本の商品
中国商務部の資料によると、2018年度は1兆5,345億円分の日本製品が中国で購入されています。中国人が越境ECサイトで購入したことがある日本製品は(1)基礎化粧品(2)食品(3)娯楽商品(4)ファッション(5)医薬品となっています。MADE IN JAPANの信頼性の高さから、日本商品を求めている中国消費者が多いのです。
中国越境ビジネスのライブコマースの仕組み
次に、中国越境ビジネスのライブコマースの仕組みを確認していきましょう。ライブコマースの配信方法は、2通りの方法があります。
1.インフルエンサーによる配信
1つ目が、インフルエンサーが店舗へ誘導するライブコマースです。KOLと呼ばれる中国インフルエンサーは、多くのフォロワーを持っています。フォロワーに対して、ライブ動画配信を実施して、商品を販売しているECサイトに誘導する方法です。中国では、商品の信用度・安全性が薄いため、インフルエンサーが絶大な力を持っており、ECサイトへの高い集客効果が見込めます。
2.店舗従業員による配信
2つ目が、店舗従業員によるライブ動画配信です。豊富な商品知識を持ち、店舗主体に行うライブコマースは、実店舗やECサイトで一定のファンを獲得できている店舗が行っています。中国では、インフルエンサーを活用せず、店舗従業員主体で行うライブコマースの育成や代行サービスのビジネスも普及され始めています。
補足:中国ではインフルエンサーが絶大な力を持つ
2通りの方法があるライブコマースですが、中国ではインフルエンサーが絶大な力を持っています。例えば、大人気のインフルエンサー李佳琦は、ライブ配信開始5分間で1万4,000本の口紅を販売しました。中には、1日のライブコマースで5億元(約75億)の成約額を叩き出すインフルエンサーも存在します。
中国越境におすすめ動画配信サービス
実際に、中国の動画配信サービスを確認しておきましょう。ここでは、とくにユーザー数の多い動画配信サービスをご紹介します。
1.一直播
(出典元:http://www.yizhibo.com/)
2016年にリリース。毎日1,000万人のユーザーが利用しており、1回の動画配信で450万人が視聴するなど脅威的な記録を残している動画配信サービスです。姚晨・周迅・李氷氷・李宇春などの人気有名人を起用して知名度を挙げました。
2.映客直播
(出典元:https://www.inke.cn/index.html)
2015年にリリース。一般の方でもライブ動画配信が行える「全民直播」という概念を生み出しました。クリーンな内容のライブ動画のみが配信されるように、徹底監視されています。動画配信者がキレイに映るような美顔エフェクトなどの機能も備わっています。誰でも気軽に動画配信が楽しめるとして、毎日1,500万人のユーザーが利用しています。
3.花椒直播
(出典元:https://www.huajiao.com/)
2015年にリリースされた、1日500万人が利用している動画配信サービスです。人気の芸能人も動画配信している関係で、1990年代生まれ以上の若者の視聴者が多いです。2016年からは、VRライブ動画配信サービスを開始しており、より臨場感のあるライブ動画配信が楽しめるようになりました。
4.淘宝直播
中国国内おけるEC市場の取引総額約80%を占めているECサイトタオバオ(淘宝)で、ライブ配信ツール「淘宝直播」が登場しました。ECサイトと動画配信が融合され、ライブコマースプラットフォームとして生まれ変わり、大きな注目を集めています。
大人気の淘宝直播でライブコマースを始める方法
中国のライブコマースとして注目を集めている淘宝直播の始めるには、下記の審査に通らなければいけません。
【淘宝直播の審査】
- アリペイ(支付宝)のアカウントを作成する
- アリペイ(支付宝)アカウントを通じて本人確認する
- ファン数や投稿数、お気に入り数の審査を受ける
- 動画を1本投稿して審査を受ける
ライブコマースを成功させる5つのポイント
次に、ライブコマースを成功させるポイントをご紹介します。
1.視聴者が求めている商品を把握する
お客様が何を求めているのかを見極めることで、ライブコマースならではのコミュニケーション(動画内での質問・回答・インタラクティブなやり取り)が生まれます。そのため、積極的に、お客様の要望を吸い上げるようにしましょう。
2.視聴者だけが受けられるお得感を用意する
人気のインフルエンサーは、視聴者を楽しませる工夫をライブコマース上でしています。「配信者限定」「期間限定」「還元手法」などの配信価格設定を用意しておくと、喜んで商品を紹介してもらえて、驚くほど商品は売れていきます。そのため、視聴者だけが受けられるお得感(キャンペーン)を用意しておきましょう。
3.在庫バランスを調整する
EC先進国の中国のライブコマースでは、数時間で数万個の商品が売れることも珍しくはありません。しかし、在庫を大量に用意すればリスクも伴うため、どれぐらい売れるかを予測しながら、在庫バランスを調整する必要があります。
4.現地企業と密接に連携をとる
ライブコマースを成功させるためには、視聴者が楽しめるライブ配信を企画・運営しなければいけません。そのため、インフルエンサーや運営会社とのコネクションを作る必要があります。そのため、現地企業と密接に連携し、ソーシャルバイヤーとのコネクション作りに励みましょう。
5.配送システムを構築する
中国越境ビジネスでライブコマースを実施する際には、配送システムも重要です。配送システムには「保税モデル」「直郵モデル」の2通りのモデルがありますが、保税モデルは初心者にはハードルが高いです。
また、直郵モデルは2019年4月より電商法の影響を受けるようになったため、合法的な配送システムを確保しましょう。配送システムに不安を感じる方は、代理店会社に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、中国で話題のライブコマースの魅力について解説しました。中国では、商品の信用度・安全性が薄いため、インフルエンサーが絶大な力を持っています。ライブコマースの市場規模は6.4兆円にも成長しているため、参入をすれば越境ビジネスを成功させることもできるかもしれません。しかし、ライブコマースの実施にはノウハウや豊富なネットワークが必要になります。この記事を読んで、ライブコマースに興味を持った方や、質問など、お気軽にご相談くださいませ。
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